研究テーマ 

児童生活を切り拓く児童生徒の育成を目指して

  ~「思考力,判断力,表現力」を引き出す授業作り~

 

 1年次のまとめ


第17期研究の,1年次のまとめを掲載します。

 

    第17期研究1年次のまと(PDF) 


 

3年次のまとめ(第17期研究全体のまとめ)
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第17期研究の全体のまとめと研究紀要第21集を掲載します。
 

1 「思考力、判断力、表現力」の育成に関する課題の整理について

本研究では「思考力、判断力、表現力」の目標設定や評価が難しいというところから、「どんなふうに難しいのか」「なぜ難しいのか」といったことまで一歩進めて、検討する必要があると考えた。そこで、令和3年度の単元計画における「思考・判断・表現」の評価を分析する方法で、本校の「思考力、判断力、表現力」の課題の整理を行い、本校の「思考力、判断力、表現力」の育成に関する課題を整理し、課題整理図として示した。


 

2 「思考力、判断力、表現力」を引き出す授業及び指導・支援について

(1)生活を切り拓く「思考力、判断力、表現力」の検討

本校の「思考力、判断力、表現力」の育成に関する課題のうち、まず、生活を切り拓く「思考力、判断力、表現力」とはどういった力であるかを検討した。本校職員の意識調査を行い、調査を基にグループで話し合い、本校における【伸ばしたい「思考力、判断力、表現力」】としてまとめた。また、「思考力、判断力、表現力」を支える学びに向かう力も整理することができた。

 

(2)「思考力、判断力、表現力」の目標設定と学習評価の検討

課題の整理からは、目標設定の曖昧さの問題が明らかになった。そこで、本研究では学習指導案様式の改善にまず取り組んだ。本校では各教科等を合わせた指導についても、指導内容として扱う教科の内容を明らかにし、目標も教科別に設定している。それぞれの目標をさらに「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の育成を目指す資質・能力の3つの柱に沿って設定することとした。 また、児童生徒の発言等の言葉で表されるものだけではなく、行動や様子から「思考・判断」を見取り評価していくために、評価規準の設定を行うこととし、これも学習指導案様式に新たに項目として設けた。

 

(3)知的障害特別支援学校各教科「思考力、判断力、表現力等」の目標との関連の考察

【伸ばしたい「思考力、判断力、表現力」】と知的障害特別支援学校各教科の「思考力、判断力、表現力等」の目標の表記を比較し、関連性について考察した。 その結果、二者の関連は大きいと結論付けられ、関係性を「『思考力、判断力、表現力』の目標の関連図」で表すことができた。


 

(4)「思考力、判断力、表現力」を育成する教師の支援の在り方の検討 (グループ別研究)

本研究2年次の令和5年度は、授業作りを含めて「思考力、判断力、表現力」を育成するために、教師はどのような指導・支援を行っていかなければならないか、授業実践を踏まえて検討していくことを目的として、本校職員を縦割りでグループ編成しグループ研究を行った。児童生徒の「思考力、判断力、表現力」はどのように発達していくのかを把握し、発達段階や生活経験の状況に応じた手立てについて検討を深めたいと考え、小学部から高等部の縦割りでグループを編成し研究を進めた。

 

(5)佐大附特版「思考力、判断力、表現力」を引き出す授業作りのポイントの整理

今期研究最終年度である令和6年度の初めに、令和5年度のグループ別研究を中心として、それまでの実践研究から見えてきた、授業作りや指導・支援の有効な点を佐大附特版の「『思考力、判断力、表現力』を引き出す授業作りのポイント」してまとめて図式化した。ポイントとなる項目を便宜上授業作りのプロセスに沿って配置しているが、それぞれの項目は関連しあっており、また1つ1つの項目の内容も幅広い。令和6年度はこの「授業作りのポイント図」を活用した研究授業を行った。

 

3 今期研究の成果と課題

本校職員のアンケートを基に本研究の成果と課題を以下のようにまとめた。

(1)成果

・児童生徒一人一人を「思考し、判断し、表現している主体である」と捉えることができた。

・「思考力、判断力、表現力」に着目し、広い視点で目標を設定できるようになった。

・教師側の見取りへの意識が強化され、見取り方の工夫をするようになった。

・児童生徒の思いが反映された活動内容を設定し、意欲的に取り組むことができるような授業作りに努めた。

・「現在及び将来はどんな生活がしたいか」「どんな大人になりたいか」 と児童と一緒に考えることができるようになった。

(2)課題

・「思考力、判断力、表現力」の本校としての捉えなどを明確にするには至らなかった。

・児童生徒の内面の評価は、教師の主観が入ってしまい妥当性が低いのではないかという不安がある。

・「思考力、判断力、表現力」の育成には自立活動の視点が重要であることが実感された。今後取り組んでいきたい。

・小学部・中学部・高等部へと段階的な整理にまでつなげていきたい。

 

・「生活を切り拓く力」の育成が図られたかどうか、卒業後の児童生徒の生活の様子などを根拠に判断できるようにしていきたい。


研究紀要第21集 PDF
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